時空自在

タンジールから中国へ・そして帰還

立禅

爪先をやや内側に向け、足幅は肩幅より気持ち広め。

「気を付け」のように体を反らすのではなく、骨盤を前傾させ、肩を下げ、肩甲骨を広げる。

私の場合、瞼は閉じる。

鼻から息を吸い、頭から丹田に息を回すイメージを持つ。

 

よく、樹木になったイメージというがその通りで、ユラッと立つ。

雑念を払い、閉じた瞳の裏側を凝視する。

鳥の囀りが自然と耳に入るだろう。たまに道路を通過する自動車のエンジン音がとても騒々しく聞こえ、不快感を覚えるはずだ。

風の音はもちろん、わずかな空気の振動を感じることもできる。

 

立禅を毎日繰り返していると、常に腕から掌、指先が温かくなってくる。

また、実生活でストレスがかかった際に鼻から息を吸うと感情のバランスを失わずにすむ。

気の蓄積というか、心身の最適化を図っていく。

 

これで、意識の浅いところでの不安やエゴを取り払っていく。既成概念から自由になり常識を疑ってみることを現象学ではエポケー(判断停止)というが、私は立禅はエポケーに至るための実践ではないかと考える。

意識レベルでの浅知恵から自らを解き放ち、鳥の囀りや空気の振動の側に還っていくのだ。

(写真は澤井健一先生の立禅)

 

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