時空自在

タンジールから中国へ・そして帰還

身辺雑記 自由・旅・拡張性について

 通勤用のママチャリをアップグレードしたくて専門店に行った。 カゴがでかくてお洒落なクロスバイクもどきをイメージしていたが、そこでグラベルロードの実物を見てしまった。

 グラベルロードとは、ロードバイクのタイヤを太くしたもので、林道に入れるしキャリアがつくのでキャンプも出来る。 極端な話、タイヤとギヤを変えればロードレースにも出れる(やや無理はあるが)。この、用途を限定しない「拡張性」というのがグラベルロードのキモで、競技に勝つために合理性をとことん追求したロードバイクとは指向が真反対だ。ある目的のために使役される機材ではなく、こいつがあるおかげで自由になれる、そんな存在だ、きっと。

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 これがあれば行き先を決めない旅が出来る。 で、欲しくなって数日間ずっとその事を考えていた。

 完成車で10万円切る位の良スペックのものはあるが、趣味の自転車を完成車で買うという発想になれない。 中学生の時は新聞配達で金を貯めて激安のフレームを買ってランドナーをバラ完させて毎週末に丹沢の林道に行った。楽しかった。グラベルロードを知って、40年ぶりに林道に入りたくなった。

 その後、十代後半は自転車競技にどっぷり嵌り、競技をするようになるとバラ完どころか工房でジオメトリーをオーダーするようになった。ミリ単位の話なんだけど、乗り心地とレスポンスに影響するわけです。

 競技をやっていた数年間で既成フレーム、オーダー合わせて5台くらいは乗り継いだだろうか。 選手をやめてからはママチャリしか乗っていないし、再び競技の世界には行かないし、一度完全燃焼しているので今時のロードバイクに全く興味が湧かなかった。

 でも、グラベルロードは良い。自由になれそうだ。テントとシュラフとコンロだけ積んで行き先を決めない旅に出たい。数十年ぶりに趣味の自転車が欲しくなった。

 さてグラベルロードをバラ完させようとしている。 黒いロードバイクもどきはフレーム2万円で思わず衝動買いしそうになったが、太いタイヤが入らないのでボツ。青いのがグラベル専用フレームで8万円。カッコええ!賞与で買おう。

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 ちなみにフレーム8万円だと完全させると20万円以上だろう。10万くらいの良質な完成車を買った方がよほど経済的。でもね、完成車の「このモデルは〇〇向き」っていうのがお仕着せっぽくて嫌なんだよね。 自分が乗るものは自分で組みたい。カタログの1頁に収まりたくない。

 妄想炸裂の文章になってしまった。 一年後には紅葉の林道に奥深く分け入っていたいものだ。 四半世紀以上前に離れたつもりだった世界に再び引き摺り込まれるのは、偶然を超えた何かを感じざるをえない。