時空自在

タンジールから中国へ・そして帰還

2020-01-01から1年間の記事一覧

22世紀の本土決戦 ①逡巡

22世紀、人間が人間を攻撃する戦争は禁止されたが、替わりにドローンや無人機械が都市や家屋を破壊する事で人間を殺したので、人類の覇権争いの手段としての戦争は無くならなかった。 上空で核分裂を人為的に起こす行為も禁止されなかったので、過去先進国と…

身辺雑記 自由・旅・拡張性について

通勤用のママチャリをアップグレードしたくて専門店に行った。 カゴがでかくてお洒落なクロスバイクもどきをイメージしていたが、そこでグラベルロードの実物を見てしまった。 グラベルロードとは、ロードバイクのタイヤを太くしたもので、林道に入れるしキ…

冷笑系の起源~加藤典洋『言語表現法講義』批判

加藤典洋『言語表現法講義』は1987年から9年間に渉る、氏の明治学院大学での講義をまとめた書である。 本稿では本書の「第六回」の、多少なりとも社会、歴史に触れた部分に限って批判的に言及する。それ以外の、文章作法について述べている本論は全て感動を…

戦争文学としての『チェリー』

ニコ・ウォーカー『チェリー』、主人公がイラク戦争から生還したところまで読んだので、おこがましいが戦争文学としての所感をつらつら書きたい。 『チェリー』のイラク戦争の記述は桑島節朗『華北戦記』と似ている。イラクと華北、どちらも非対称戦争つまり…

日本人の想像力(ゲルニカ・重慶・東京・シリア~大空襲の日に寄せて)

3月10日、東京大空襲の日が近づいています。今年は75年目です。1945年3月10日未明、東京の下町の住宅地を標的に数百のB29が襲来し、密集する木造の日本家屋に焼夷弾を投下しました。一晩で10万人が主に焼死しました。罹災した人々の中には私の曾祖母もいます…

誰にも似ていない私について

【1】 いつの間にか、ほかの誰にも似ていない人間になった。 同世代男性と比較すると、猶更である。しかし、借り物でない言葉を発する事が出来るようになるまで、どれくらいの時間が必要だっただろうか。 そして、多くの人が望むものを手に入れる事が出来ず…